この所、雷が続いている。
異常に暑さからの熱雷だろう
雷と言えば強烈な思い出がある。
学生時代に八ヶ岳で遭遇した雷である。
午前中に硫黄岳を登って
降りようとする時だった。
登る時には遠く見えた雲が、
ぐんぐんと近づく。
真っ黒な雲に覆われたと思ったら、
急にぱらぱらと雹が降り出した。
やがて稲妻が光り遠くに落ちる。
次の瞬間、身につけていた金属が
バリバリと音を立てる。
そして一瞬、目の前が真っ白になった
と同時にビシャーンという轟音が響いた。
直ぐ近くに雷が落ちたのだ。
そして今度は猛烈な雨が降ってきた。
雹と雨がごっちゃになって
さらに風が吹き横なぐりにたたきつける。
8人ぐらいのパーティだったが、
互いに恐怖で顔が引きつっている
にげろと一目散に駆け出す
真っ暗で夜のような山道を
てんでんばらばらに降りていく。
そして、次々に雷が落ちる。
その時だけ稲妻で周りが明るくなる
遠くだったり直ぐ近くだったり。
疲れているはずだが、
もうなりふり構わず降りる。
遠くの稜線では雷が落ちるというより
稲妻が龍のように地をはっていく。
人のことはかまっていられない。
とにかく下ることだけを思って走る。
おそらく3時間くらいかかる道を
半分の時間で降りてきたと思う。
全身ずぶぬれだった。
しかし麓に降りてきた時には
嘘のように雨がやみ、
天気が回復していた
とにかく全員無事に降りてきたのが
奇跡に思えた。