今月の1冊 深夜特急 6 やはり旅文学の傑作
9月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2043
ナイス数:81仕立屋お竜 (文春文庫 お 81-1)の感想
必殺仕事人であるが、ちょっと全体に設定がぬるい。人殺しを家業にするまでの課程がなんか納得行かない。いくら才能があるからといって、数年で使い手になるものだろうか。相手になる勝之助も軽くて剣豪という設定も変。女を救うために人殺しする?亭主を殺すの楽しんでいないかい。あさのあつこや今村翔吾の人物像に比べると薄っぺらい感じがして、読んでいて飽きてしまった。
読了日:09月26日 著者:岡本 さとる地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団 (講談社文庫)の感想
趣味で宅建士の資格を取り、不動産には興味を持っている。そして、その不動産にまつわる犯罪が、地面師である。詐欺は割の合う犯罪である。そして、一番摘発と逮捕が難しいのは結婚詐欺と地面師だと言われる。前者は、被害届けがでないし、出ても返すつもりとか言い逃れができる。そして、地面師である。逮捕するのも難しい、逮捕しても起訴できない。起訴して有罪となっても数年すれば、社会の舞い戻ってしまう。有名なミサワホームの事件やアパマンなどの話が興味深い。大物たちは捕まらない。まだまだ事件は起こっていくだろう。
読了日:09月25日 著者:森 功【旧版】深夜特急6 ー南ヨーロッパ・ロンドン (新潮文庫)の感想
長い旅が終わってしまう。作者が成長したのか、疲れてしまったのか。香港の頃のあのひりひりするような熱情が無い。旅の最後になって人生について言葉が多くなった。元々哲学的なつぶやきが体現されてきたのかもしれない。もし、私が若くてその環境が許せば放浪の旅にでることができるのか。恐らくできない。きっとその時はあれこれといいわけを考え結局実行しないだろう。だからよけいに彼の旅に憧れるのだ。そして、文章とともに旅をしていたのだ。だから終わってしまうのは寂しい。
読了日:09月24日 著者:沢木 耕太郎乱鴉の空 (光文社文庫 あ 46-14)の感想
いきなり信次郎が姿を消す、驚きの展開から親分と遠野屋の二人の推理はなかなか進まない。回想シーンで信次郎のセリフの存在感。全く手がかりがないところから幕政を揺るがす事件へと発展していく過程がいいね。でも、用心棒として遠野屋を使うなんてどこまで人を食ったヤツだ。信次郎って刀は使える男なのか気になる。キャラクターが固まってますます面白くなってきた。
読了日:09月21日 著者:あさのあつこ金融屋 借金漬けにされる消費者たちの感想
サラ金の実体を内部の人間が買いた本。自分自身資格の一つとして、貸金取扱主任者の資格を取ったが、その勉強の内容は、まさしく反社との関わりを遮断する法律を勉強するということだった。パチンコ、競馬などの賭事は、中毒者によって成り立っている。金融屋もおなじである。借金中毒者を作っているのだ。一般人が後ろめたい借金という壁を乗り越えれば、際限なく落ちていく様子が描かれている。サラ金は必要悪であるとそれを商売としている人たちは言うだろう。はたして世の中に本当に必要なのだろうか
読了日:09月18日 著者:笠虎崇底辺駐在員がアメリカで学んだ ギリギリ消耗しない生き方の感想
ニートから旅行業界へそして仕事の傍らユーチューバーにもなっている。まず言葉遣いが丁寧なのが特徴がある。アメリカに長く在住している人のアメリカ人評価がおもしろい。東海岸に住んでいる人は、西海岸の人を見下しているとか。ニューヨークには、びっくりするほど大きなどぶねずみがいるとか銀行の口座を開いたり、クレジットカードを作ったりするとすごい得点があるとは、日本とは全く違うのだなと感心する。本人はだめ人間と自分のことを言っているが、実は努力家なんだろうと思った。
読了日:09月16日 著者:US生活&旅行花下に舞う (光文社文庫 あ 46-13)の感想
古のミステリー仕立て、一見事件が解決したと思いきや古い事件との繋がりが出てくる。信次郎の母瑞穂の登場で、その賢さが信次郎に引き継がれていることがわかる。幼い頃の母の記憶が事件の解決に導くとは、シリーズの中でもかなり練ったストーリー。少し無理な所もあるかな。信次郎と遠野屋の心理的対決も相変わらす楽しめる。伊佐治いい味だしているよな。
読了日:09月07日 著者:あさのあつこ海が見える家 それから (小学館文庫 は 3-2)の感想
続編で前作よりも展開が進むのが遅いけれど、自分の生き方を少しずつ理解していく様子がいい。人生とはどのように生きるのがいいのか。あまり交流のなかった父が亡くなってそれぞれの人生があったのだと改めて思う。私も自分の父の人生を改めて考え直す機会になった。押しつけがましい教訓のような話でないのがいい。さりげなく語るところが好感を持てた。
読了日:09月07日 著者:はらだ みずき