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読書 10月読んだ本 

10月の一冊は、『存在のすべてを』がよかった

 

10月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1754
ナイス数:85

曙光の街 (文春文庫)曙光の街 (文春文庫)感想
日本警察の知られざる公安を描いた映画や小説は面白い。最初は、なんだこのやる気のない倉島は、と思っていたが さすが、今野さん。元KGBの殺し屋とヤクザになりきれない男の絡みやロシアの美人娼婦の登場など素材は魅力的。そして急展開で一気に読み終えた。ハードボイルドにハッピーエンドはないだろうという人もいるが、私は好きだ
読了日:10月22日 著者:今野 敏
慟哭は聴こえない: デフ・ヴォイス (創元推理文庫 M ま 3-2)慟哭は聴こえない: デフ・ヴォイス (創元推理文庫 M ま 3-2)感想
第一作で感銘を受けたので、手に取った。法廷ものとサスペンス調のものが入っている。いつぞやの総理大臣の何とか学園をモデルにしたような内容。舞台が自分の良く知っている地名で行われているのがなんか不思議で親近感がある。聾の言葉の由来には龍は最初は耳をあったが角で感じていたので使わず、その耳は海に落ちてタツノオトシゴになったという話からきているとのことだった。なるほど。次回作もあるようなのでまた読みたいと思った。
読了日:10月16日 著者:丸山 正樹
正義の行方正義の行方感想
オーディブルを利用したのだが、最初は、レポートを読み上げるような無味乾燥な調子で違和感があった。しかし、内容が進むにつれ、それが現実の重みを伝えることがわかる。それぞれの立場での発言を冷静に綴っていく。真実は一つである。でも正義とはそれぞれの立場であるものだろうか。時代背景や警察の思惑、現場の声。記者たちの矜持、被害者家族たちの嘆き、積み重なって重い事実と向き合う。真実は神のみぞ知る。人間はいくら高度な道具や知識を使っても到達できないのだろう。
読了日:10月12日 著者:木寺 一孝
シャドウ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M み 5-1)シャドウ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M み 5-1)感想
うーんこれほんとに本格ミステリーだろうか。どんでん返しがあるが、ちょっと全体に現実的ではない。怪しい雰囲気を出すために心理描写や余計な妄想を入れたりしている。小学生がこんなことできるのだろうか。匂わせや手がかりもなくいきなり善良な男が真犯人となる。そして、それを主人公が殺しても事件とならないで、自殺とされてしまう。テレビの粗悪乱雑のサスペンスもののようだ。何よりも、殺人を犯して、子供たちにはには黙っていてね。最後にさわやかに終わるなんて、どうなの。すべて勧善懲悪にしろとは言わないが、納得いかない。
読了日:10月10日 著者:道尾 秀介
存在のすべてを存在のすべてを感想
タイトルからして哲学的な小説なのかと思って読んだら、サスペンス調で始まり、家族の愛や警察内部、美術界まで発展する。点が線となりスリリングな展開が一点ハートフルで最後は泣けてしまった。貴彦と亮の作品を見てみたくなった。でも貴彦はどうなってしまったのだろう。こんなに優しくて切ない終わりかたがあるだろうか。タイトルが存在のすべてを語っていた。
読了日:10月03日 著者:塩田 武士

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