多趣味の扉

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登山 初めての単独行 甲武信ヶ岳 前半

今から考えると無茶な計画だった。

高校2年生の時、部活のサッカーが

土曜日にあった。夕方までグランドで

走り回って、くたくただった。

それでも、家から登山靴や服などを

持ってきて、表の水道で体を洗い

部室で着替え、そのまま新宿へ。

新宿発の最終各駅停車長野行き。

11時55分発である。

車内は、酔っぱらいのサラリーマンと

登山客だらけ。

みんな楽しそうに飲んだり

騒いだりしている。

私は、一人で必死に寝ようとしたが

心細さと疲れが襲ってきて眠れない。

やっと、うとうとしたら、もう朝だった。

小淵沢駅から小海線に乗り換えて、

9時に信濃川上の駅に着くと

登山客は一斉に村営バスに向かう。

すぐに出発になる

これを逃すと1時間以上バスはない。

秩父の山を行く人は

大抵これを使う。

瑞垣山、金峰山

もちろん甲武信ヶ岳もそうだ。

登山道入り口に着いた。

数人の団体が3組くらい。

単独行は、私だけのようだ。

ここでもちょっと

不安がよぎる。

しかしこの人達について行けば

と思って、後から行く。

しかし、みんな遅い。

ぺらぺらと話はするが足を運ばない。

こうなりゃ先頭へと歩き出す。

自然とペースが早くなる。

しばらくすると、前後全く人がいない

状況になった。

登山道の目印通りに進んでいく。

すると途中、先日の大雨で崩れたのか

川の所で目印のリボンがなくなった。

地図も持っていないし、

ましてやコンパスもない。

まあ上に行けばいいだろう

と平たい石を上り続ける。

しかし全く道らしきものが見つからない。

だんだん不安が広がっていく、

思わず『ワー』と叫んでしまった。

昨日の部活の疲れと寝不足が重なって、

パニックになっていたのだ。

戻るにしても道もわからない。

『遭難』という言葉が浮かんだ。

また、『ヮー』と叫んだ。

3回くらい叫んだら、

お腹が空いたこと気づいた

そして、持ってきたチョコレートを

口に入れる

すると、不思議と落ち着いてきた。

《明日に続きます》