多趣味の扉

好きなことを話そう

アルバイト Hガラス工場 機械の一部になる

そのバイトは時給が良かった。

しかし、勤務時間は12時間。

朝8時から夜の8時までで1万円もらえた。

今は、12時間労働などないだろうけど。

だから学生のバイトとしては、高給だった。

仕事内容は、簡単なもの。機械から出てくる

ガラスの皿のようなものを5メートルくらいの

四角いボードに並べていくだけ。その面が一杯

になるとその上にボードを置いてまた同じに

皿を並べる。高さが1メートルくらいになると

フォークリフトがやってきて、別のところに

運んでいく。そして、その繰り返し、但し

機械は絶対に止まらない。だからトイレの時は

手をあげると代わりの人がきて作業する。

そして、昼食も30分。その間も別の人が行っている

間の休みがなく、トイレの時に息をつけるだけ

最初は、楽だと思っていたが、ずーと同じ作業を

し続けると飽きてくる。そして、だんだんつらく

なってくる。夜の8時が途方もなく遠くに思える

1日目は何とかもった。夜の人は、全く無表情で

機械の様に作業をしている。そして朝8時少し

前に機械のところに行くとその人が昨日と同じ

格好と無表情で手を動かしている。2日目も長かった

考える事がなくなってくるのだ。休みなく機械から

吐き出される皿をひたすら並べていく。話もなく、

同じ仲間の人もない。機械音だけ。ようやく8時に

なってあの人と交代をする。そして、家に帰って

寝ようとしたときにバイト風景が浮かぶ。そして

あの無表情男は、夜中同じ作業を繰り返している

のかと思うと眠れなくなった。

3日目の昼食の時に、その現場の主任らしき人に

やめるとの意志を伝えた。

そのとき、あのバイト長続きするやつが

いないんだよね。

とぼそっと言った。

3日でギブアップしたバイトは初めてだった。

でも、あのまま続けていれば、あの無表情男と

じように感情がなくなって、

最後は精神を病んでしまったかもしれない。